経営者ナビ >> 会社・法人の手続き >> 小規模企業共済の加入資格・解約手続き
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小規模企業共済とは「個人事業主」もしくは「企業の役員」などが退職時もしくは事業を廃止した場合など、第一線を退いた時に、それまで積み立てた掛金に応じた共済金を受け取ることが出来る共済制度の事です。
小規模企業共済は小規模企業者の福祉の増進と小規模企業の振興に寄与することを目的として、「小規模企業共済法第102号」に基づき昭和40年に発足した制度で、国家が小規模事業主のために作った「経営者の退職金制度」と言えるものです。
小規模企業共済制度をお考えの方の大半は、まず導入の目的として、「税金の控除メリット」をお考えの方が多いと思います。
更に、小規模企業共済制度には、掛け金を担保に「無利子」での融資制度も存在します。
これらは国家が定めた制度ですからしっかり把握し、そのメリットを利用する事も考える必要があります。
小規模企業共済制度の運営は、独立行政法人である「中小企業基盤整備機構」が運営しております。
この中小企業基盤整備機構は国家が全額を出資しており、運営に関わる経費は国家が負担しております。
国家が運営している、という事は、当然ですが倒産はおこりません。
ですから、安心して利用できる制度と言えます。
【ポイント!】
※中小企業基盤整備機構は国家が全額出資している組織
小規模企業共済に加入するには条件があります。
条件は、常時使用する従業員が20人(商業とサービス業では5人)以下の個人事業主と会社の役員もしくは、一定規模以下の企業組合・協業組合及び農事組合法人の役員であること。
ここでの注意点は「常時使用する従業員」の規定として、「家族従業員」・「臨時従業員」は対象に含まれない点です。
尚、加入後に従業員が増えても共済契約は継続できます。
小規模企業共済の掛け金は毎月「1,000円~70,000円」までの範囲内で任意で選択が出来ます。
共済掛金の最小単位は500円単位です。
また、この掛け金は加入後、増額も減額も可能となっており前払い(前納)も可能です。
ただし、減額する場合に限り一定の要件が必要となります。
小規模企業共済は毎月積み立てていくものですから、金額はゆとりの範囲ではじめることが大切です。
尚、所得が極端に下がった場合や、給料の支給が出来ず掛金を納めることが困難な場合は「掛け止め」をすることができます。
小規模企業共済の掛け金は、基本的に「口座振替」となります。
また、小規模企業共済の掛け金は、一括で前納して納めることも可能です。
小規模企業共済の掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」として、課税対象所得金額から控除されます。
これは、1年以内の前納掛金も同様に控除されます。
確定申告をすでに自分で実践された方はもうご存知かと思いますが、確定申告の申請用紙には「小規模企業共済掛金控除」という独自の項目が存在します。
確定申告の際には、この欄に、年内の掛金を記入するだけでOKです。
小規模企業共済制度を実際に活用した場合の節税効果を例をあげてみていきましょう。
ここは重要な項目です。
まず毎月の掛金が3万円ですから、年間にすると36万円となります。
手続きとしては、まず確定申告申請用紙の「小規模企業共済掛金控除」の欄に36万円と記入します。
この36万円は、まるまる課税所得額に対して全額控除されることになりますから、
400万円-36万円=364万円
となり、課税所得額が36万円引かれ、この引かれた額に対して、「所得税」・「住民税」が課税される事となるのです。
尚、このケースの場合の節税効果は93200円となります。
これは、おおまかではありますが所得税と住民税が約9万円近く節税できるという計算となります。
小規模企業共済制度の申し込みは全国の金融機関の本支店などで受付けしております。
以下に代表的な機関をまとめます。
●全国の銀行
●商工会連合会
●市町村の商工会
●商工会議所
●中小企業団体中央会
●中小企業の組合
●青色申告会
運営元の独立行政法人、中小企業基盤整備機構と業務委託契約をしているところへ申し込みが可能となっております。
小規模企業共済契約の解約は、契約者の方の申し出によりいつでも可能です。
このように、自分の意思で解約することを任意解約と言います。
この任意解約の注意点は、小規模企業共済の掛月数により掛金の変戻し金が異なる点です。
基本的に、小規模企業共済の掛金は「240ヶ月未満の解約の場合は元本割れ」を起こします。
240ヶ月とは、単純に20年という長期間です。
小規模企業共済は基本的に掛金である共済資金を運用し、その運用益から利益を還元しております。
これは安定的な長期的な商品への投資が基本である点、そして税制控除と踏まえている点も考えると当然の事と言えるかもしれません。
ですから、小規模企業共済を利用する場合は、長期的な思考で節税と退職金の積み立てという趣旨で導入するのが賢明な利用法といえるでしょう。
小規模企業共済を解約する場合は、その解約の種類にもよりますが、任意解約の場合は「解除する旨の文書」を中小機構に送付する必要があります。
また、個人の過失などにより「中小企業基盤整備機構」から強制的に解約される場合も「共済契約解除通知書」が契約者に送られます。
この解約させられる場合とは、
●契約者が掛金を12か月以上滞納した場合(中小機構解約)
●契約者が偽りその他不正の行為によって共済金等を受給し、または受給しようとした場合
この場合に限り、強制的に解約となる事です。
一般的に見られるのは前者ですが、不正行為を働いた後者の場合は、解約手当金についても貰うことは出来ません。