経営者ナビ >> 会社法による規制・罰則 >> 利益供与の禁止規定の解説
利益供与の供与とは、相手が欲する物品等の「モノ」や「金・金品」「証券」等の利益を与えることを指します。
会社における利益供与とは主に特定の株主に対して金銭や物品を与える行為のことを指します。
株主は会社の実質的な所有者ですから、会社の経営方針を決定する株主総会では会社の方向性を定める議決権を保有しております。
上場企業等幅広く株式を発行している企業が古く抱えてきた問題の一つに総会屋による利益供与要求の問題があります。
総会屋とは市場に出回っている会社の株式を取得し、株主総会での発言力を武器として企業に金品等の利益供与要求を行う組織の事です。
利益供与要求を受けた企業が仮に要求を拒否した場合は株主総会の進行に支障をきたす為、日本では古くから総会屋の活動が活発に行われてきた経緯があります。
総会屋の利益供与に関する問題は古くから企業体質を歪める要ひとつの要因として問題視されてきました。
総会屋は会社が要求した金品の供与を拒んだ場合、株主総会の場において総会の議事進行を妨害することで企業への影響力を強くする「野党総会屋」と、要求した金品の供与を受け、他の一般投資家株主の発言を威圧的に抑えこんで株主総会の進行を円滑に進行させる「与党総会屋」があります。
大手企業にとっては、経営に影響力を持つ総会屋の存在は正常な企業運営を妨げる要因となっているものの、一般株株主の発言力を抑えることで時には企業の経営活動を補助している実態もある事が長年、多くの企業が総会屋との関わりを断ち切ることが出来なかった問題の背景にあります。
利益供与の禁止規定が初めて制定されたのは1981年の会社法の改正時です。
この改正では会社は何人に対しても株主の権利行使に関し財産上の利益供与を行うことが認められなくなり、違反者には利益供与罪の罰則規定が適用されます。
その為、利益供与の要求を受けた企業は「利益供与の禁止規定」による「利益供与罪」がある事によって要求を受け入れることができないという「断る理由」を得た事になります。