経営者ナビ >> 決算書の読み方 >> 決算書の見方・読み方の解説
目次
決算書の見方を覚えるためには、まず決算書にはどのような種類が存在するのか?という基礎的な知識を身に着けておく必要があります。
会社四季報等に見られる上場企業などが毎年作成する決算書には以下の4種類の計算書で成り立っている点を把握しておきましょう。
貸借対照表はバランスシート(B/S)とも呼ばれる書類です。
貸借対照表は会社の決算書作成時における資産や借入金などの状態を示す書類で、バランスシートに関しては実際にどこかで一度は目にされたことがある方も多いかと思います。
貸借対照表は株式会社を設立した場合に会社の規模に関わらず決算書類の中で唯一開示する義務がかせられている書類でもあります。
これは会社法による規定によるもので株式会社の場合は「定時株主総会」の終結後に貸借対照表を提示し「決算公告」を官報や時事媒体(新聞等)や自社WEBサイト等の電子公告(現在の主流方法)による所定の方法で行うことが義務付けられている為です。
但し、中小規模、特に一人~少人数で経営が行われているオーナー会社の場合は官報や時事媒体(主に新聞)への公告はもちろんWEB上で掲載される電子公告に関しても実際に決算書を開示している企業はほとんどないというのが現状です。
尚、貸借対照表はバランスシートとも呼ばれるように必ず左右の数字のバランスが等しい数字となる点がポイントです。
貸借対照表は、前述した決算書で作成する4つの財務諸表の中でも、期中の状態を示す指標ではなく決算日当日の会社の資産状況を示す指標でもあることから、決算日当日時点の静止情報として「ストック情報」とも呼ばれます。
このように貸借対照表は一時点における財務諸表でもあるため、経営分析を行う際には重要な財務諸表ではあるものの正しく営業活動状態を把握するには以下の財務諸表と合わせて検討する事になります。
損益計算書はプロフィット・アンド・ロス・ステートメント(略称PL)とも呼ばれる書類で会社がどの程度の儲けを得ているかを計算した書類となっており、バランスシート共に決算書の主要となる書類です。
損益計算書は会計期間における取引の内容や収益等の数値が5段階の利益項目に分類されて計算されており、会計期間内にどの程度の利益を得たかを示す財務諸表です。
損益計算書に記載される各種の利益情報は財務分析、経営分析を行う上で重要な指標となります。
株主資本等変動計算書は貸借対照表の純資産の変動状況を表す財務諸表です。
貸借対照表の純資産に掲載される資本金などは新株予約権の発行や株主からの追加出資などによっても資本額が増減します。
また利益剰余金の処分方法としては株主への配当の他、内部留保による純資産の増減なども発生しますが、これらの純資産の増減に関する計算書をまとめた財務諸表が株主資本等変動計算書です。
尚、大企業の決算では前述した4つの財務諸表を作成する義務がありますが、資本金1億円以下の中小企業の決算ではキャッシュフロー計算書を除く3つの計算書を作成することが義務付けられておりますので覚えておきましょう。
最後のキャッシュフロー計算書とは簡潔に直訳するとキャッシュ=お金、フロー=流れとなり、そのまま「お金の流れ」を表す書類となります。
企業会計では、商品の販売や提供するサービスの対価として得る「売上代金」の回収は毎回売上発生時に回収できる訳ではありません。
帳簿上売上代金が記載されていたとしても肝心の現金の入金がなければ仕入先への支払いや銀行への借入金の返済が苦しくなり資金繰りが悪化してしまうケースはよくある話です。
会社が銀行から借り入れを行った場合、借入金の返済は約40%にも及ぶ法人税・法人事業税などを納税した後の当期純利益から返済していかなくてはいけません。
決算書上は黒字であっても現金が不足し、新たな資金繰りが出来なかった場合は黒字倒産の可能性さえもあるのが企業の実態です。
売上が右肩上がりに堅調に推移していたとしても会社の現金が大きく減少しているような場合は、現金がどのように流れているのか注意して確認する必要があります。
また、売上はやや下がっていても会社のキャッシュが潤沢にある場合、ある程度の期間は耐えられると推測することも可能です。
その為、融資を行う銀行などの「金融機関」や証券市場で投資活動を行う「投資家・投資企業」にとっては、企業の財務状況を把握する上でキャッシュ・フロー計算書は重要なひとつの指標となる訳です。
尚、上場企業の場合はキャッシュフロー計算書を含む上記4種類の財務諸表を必ず準備する必要があります。
キャッシュフロー計算書が決算時の会計書類として登場したのは平成12年ですから、日本の会計基準では比較的新しい部類の財務諸表となります。
キャッシュフロー計算書は、損益計算書の弱点とも言えるキャッシュの取引の発生しない科目におけるわかりづらい財務内容を実際のキャッシュのやり取りの流れを記載する事で、より把握しやすいようにする役割を持っております。