経営者ナビ >> 会社・法人の手続き >> 監査法人の業務内容の解説
粉飾決算という言葉を耳にされた事がある方も多いかと思いますが、ニュースで見かけるような粉飾決算では監査法人の名前が上がる事もあります。
監査法人は、企業の中間決算、期末決算を含む決算書類のチェックを行い、会計処理が適正に行われているかどうかの確認を行う企業です。
監査法人は企業から監査の依頼を受けて監査業務を行う訳ですから、粉飾決算を見つける事はクライアントを貶めるような行為とも取れなくはありません。
では、何故企業は高い報酬を支払ってまで監査法人へ監査の依頼を行うのでしょうか。
今回は監査法人の組織構成、主な業務内容、更に代表的な監査法人について確認していきましょう。
監査法人とは、公認会計法に基づき財務書類の監査や決算書類の証明業務、そして企業のコンサルティング業務などを行う複数の公認会計士が共同して設立した法人の事を指します。
会計参与制度の導入に伴い任意で会計参与を設置するかどうかを検討する企業が増加しております。
企業はこの計算書類の証明業務を行う機関として監査法人へ報酬を支払い会計のチェック業務を依頼します。
監査法人を設立する際は、最低でも5名以上の公認会計士が監査法人に在籍していることが条件となっております。
ですから在籍している公認会計士の人員が4名以下となった場合は監査法人を解散しなければいけません。
尚、監査法人は公認会計士以外の社員を採用することも可能です。
しかし、公認会計士ではない社員の割合は全社員の25%未満でなければいけないという規定が存在します。
監査法人はこのような厳しい設立条件があるため、簡単に設立する事はできません。
また、大規模の監査法人ともなると在籍している公認会計士の人数も膨大な人数となります。
上場を目指す会社は知名度の高い監査法人に監査を依頼するケースも多く、会社の規模や知名度も監査法人を選定する重要な指標となります。
監査法人の主な業務は中間決算を含む企業の決算書類に係る書類が適正に会計処理が行われているかどうかの確認業務です。
企業は監査法人の経理チェックを受け、監査法人から粉飾などの偽りのない財務書類であるという証明、適正意見を受けることで企業の透明性を証明する証となります。
また銀行や信用金庫などの金融機関は監査法人を通した会計報告書類を確認することで会社の正確な財産情報を確認することが可能となることから、対象企業の融資計画をたてやすくなるなどの利点も生じます。
企業側としては厳格な監査を受けることで、安易な仕訳や粉飾の可能性などを指摘されるというデメリットも当然考えられます。
しかし、監査法人としては、先ず問題点を指摘し修正をお願いするという段階を踏むことで、依頼人となる企業を不正から守り、かつ監査法人としてのブランド地位の向上を果たすことができます。
監査法人の提案や指摘通りに対処する事で決算が不利に働く可能性もありますが、適正と証明されることで得られる対外イメージ、金融機関へのプラスのイメージ等の大きな利点は計り知れません。
監査法人の業務内容は、前述した各種計算書類の証明業務の他、企業のコンサルティング業務を並行して行うのが通常です。
企業は監査法人による厳格監査を受けることで、家庭で言えば家計簿とも言える内情を全て公開しているとも言える為、仕事上の営利的な取引関係を超えてより深い関係となる事は確かです。
また、監査法人への監査を依頼する企業の中にはもちろん上場を目的として監査を依頼している企業も多くあるため、目的の達成に向かうための経理的なコンサルティング力も監査法人にとって不可欠な要素です。
4大監査法人とは、実質的に日本の上場企業の大半を占める企業の監査を行なっている世界4大会計事務所のメンバーファームでもある監査法人のことです。
インターネットの普及や円高等の市場の影響を受けて海外への工場の移転等が相次ぎ海外市場を含めた大きなグローバル化が進む現在では世界的な会計集団とも呼べる世界4大会計事務所との連携が大きなポイントとなります。
その為、4大会計事務所のメンバーファームである4大監査法人に対する監査の需要が集中しているという現状があります。
尚、日本の4大監査法人とは「新日本有限責任監査法人」「有限責任監査法人トーマツ 」「有限責任あずさ監査法人」「あらた監査法人」の4つの監査法人のことを指します。
尚。4大監査法人はそれぞれ、「アーンスト&ヤング」「デロイト・トウシュ・トーマツ」「KPMG」「プライスウォーターハウスクーパース」の4つの会計事務所の事です。