経営者ナビ >> 会社・法人の設立 >> 会社の種類と責任範囲の説明
会社には大きく分類すると4種類の会社形態が存在します。
一般的に広く知られているのは出資者に株式を発行し出資者は出資額分のみの有限責任を負う株式会社ではないでしょうか。
また、近年設立数が急増している会社形態としては合同会社という形態があります。
これらの法人形態の違いは組織の仕組みの違いや責任範囲によって異なり、細かく分類すると形態ごとの分類がなされます。
例えば、株式会社の代表者は『代表取締役』となりますが合同会社の場合は『代表社員』となるように構成員の名称も異なるという具合です。
ここからは、一般的に知られる会社の種類と出資者の責任範囲、また各法人形態の特徴について確認していきましょう。
目次
会社・法人をこれから設立しようと検討している方、特に「株式会社の設立」に関する設立手続きの手順についてここでは解説していきます。
経営者となる方はまず、最も基本となる会社を設立する目的について把握しておく必要があります。
必ず覚えておくべきポイントは会社は一般個人とは異なり「営利を目的とする法人」と規定されている点を覚えておく必要があります。
会社は営利を目的とした法人組織である事からも、営利活動を行うことが最低限の基本です。
会社は法人とも呼ばれるように会社独自で一般個人のように営業活動を行うことが可能となります。
資金の運用として投資業務を行ったり、銀行や信用金庫などから法人名義で融資を受ける事も可能となります。
また、営利活動を目的とする事務所などの賃貸借契約を締結する場合においても会社個人の名義で契約業務を行うことができるようになります。
そして更に、法人は人格を保有する事からも個人と同様に地域に暮らす人格として国税、及び地方税などの税金の納税義務が発生してくる点が大きなポイントとなります。
尚、法人が納税義務を負う税種は「法人税」「住民税」「事業税」の3種類の税金があり、3種類の税金を全て納税した場合の税額の合計は税引前当期純利益の約40%程度となっており、この税金の割合によって個人事業主として営業活動を行うか?それとも法人として(もしくは法人成り)営業活動を行うのかを検討するケースが多いのも事実です。
会社の設立を検討する場合は、会社が法人としての性質を持つという法的な取り扱いについて把握しておくことが大切です。
株式会社制度の利用は、16世紀半ば以降の大航海時代以降が歴史のはじまりとされております。
世界的に貿易が盛んに行われるようになった大航海時代ではありますが、まだ航海技術が現在ほど洗練されていなかった当時の貿易会社が行う航海は危険度が高くリスクの高い事業であったのがその背景にあります。
その為、貿易事業を行う為に長期的な航海を行う際は、航海のたびに出資者を募り、無事帰国した際には出資者に配当を行い会社を清算する形で貿易が繰り返し行われていた歴史があるのです。
この出資金を募る株式会社制度の登場により出資者は株式の購入範囲内、いわゆる出資金の範囲でのみ責任を負う有限責任となった為、出資者と会社の営業を行う構成員という経営の分離が達成されました。
出資者は仮に航海に失敗したとしても出資額以上の責任を負う事はなく、また出資した割合に応じて配当を受けることができる事から、魅力のある事業には大きく出資し、危険性の高い事業には出資額を減らす、もしくは出資を見送る事も可能となり、ビジネスへの投資を活発化させるひとつの要因となっていたと言われております。
会社法に基づく会社の種類は、前述したように出資した範囲の有限責任会社の他に、無制限に責任が生じる無限責任会社があります。
株式会社は出資者全てが有限責任である為、リスクも限定されており、また株式の譲渡も可能となっているため幅広く出資金を集めやすいというメリットがあります。
実際に日本国内で設立される会社の9割以上は株式会社であるのが実情です。
尚、以前は株式会社の設立を行う際の資本金の合計額が最低1000万円となっておりましたが、現在は1円から設立が可能となっております。
とは言え、仮に何か問題が生じた際に1円しかリスクを負わない会社と大切な取引を行うかどうか?金融機関であれば融資対象となるかどうか?は容易に想像が付く範囲です。
その為、株式会社の設立を検討している場合は、会社設立後に営利活動を円滑に行う為の流れまでを考慮して資本金の額などを検討する必要があります。
株式会社は前述した通り、株式の譲渡が可能であり幅広く出資を募ることができる利点を持つ会社です。
この株式会社に対して、社員や個人経営者同士が持分を定め共同プロジェクトを立ち上げる際などに設立される会社として持分会社があります。
持分会社の特徴は社員の繋がりや個性がとても強く現実的には出資者がほぼ限定されているという特徴があります。
持分会社は不動産投資専用の法人組織の設立や、会社同士が共同でひとつの事業を行う際などに利用される傾向があり、設立に伴う手続きも設立費用も株式会社の設立よりも簡易的で費用も安くなります。
尚、日本で設立可能な持分会社は大きく「合名会社」「合資会社」「合同会社(日本版LLC)」の3種類の会社形態に分かれます。
続いて、ここからは株式会社以外の3つの法人組織の特徴や、各組織のメリット・デメリットについて確認していきましょう。
持分会社の一つ目は合名会社と呼ばれる法人形態です。
合名会社の最大の特徴は出資額に関わらず、出資者全員が無限責任を負う事が義務付けられている点です。
個人事業主は無限責任の代表格ですが、社員が財産や労務など出資することで営利活動が行われる「合名会社」は個人事業主が無限責任である形態を維持したまま複数人で事業を行うような形態であるとイメージするとわかりやすいかもしれません。
個人事業主が法人成りする際にメリットがある場合に一人で合名会社を設立することも可能です。
但し、会社に生じた債務が出資金以上となった場合は、無限責任社員である経営者個人の財産で会社の全債務を弁済しなければいけない点を忘れてはいけません。
株式会社の設立が一人でも可能であり、最低資本金制度も撤廃され、全社員が有限責任となる合同会社が設立可能である現在では魅力のある会社形態であるとは言えなくなってきております。
実際に3種類の持分会社の中で新たに設立される会社の数が最も少ない会社形態となっております。
合資会社は一人以上の無限責任社員と有限責任社員の出資によって設立される法人形態の一種です。
合名会社は全社員が無限責任を負う法人組織であり、後述する合同会社は全社員が有限責任である事から、持分会社としては双方の中間的な存在にあたります。
社員間の繋がり、結束が強い持分会社としては後述する合同会社の設立が可能であるため、現在合資会社を設立する利点は少なくなってきております。
持分会社の中でも圧倒的に新規設立数が多く人気の高い会社形態が合同会社です。
合同会社の最大のメリットは株式会社と同様に全出資者の責任範囲が出資額の範囲までであり有限責任である点です。
株式会社では原則として株式の譲渡が自由であるため、幅広い出資を募ることが可能である利点がありますが、合同会社の場合は持分の譲渡や増資を行う際には出資者全員の同意が必要となります。
その為、個人事業主が法人成りをする際や、一人経営者の会社形態である場合は目的に近い会社形態であるとも言えます。
また会社の設立費用で見ると同じ出資者全員が有限責任である株式会社を設立するよりも設立費用が安価であるという利点もあります。
日本国内ではスーパーマーケットチェーンの大手である合同会社西友や大手レコード会社として知られるユニバーサルミュージック合同会社が有名です。